15時からは愛川プロジェクト「インクルーシブな学校の開発」連絡会
愛川プロジェクトが立ち上がって2年9か月が経とうとしています。以前ブログにも載せましたが、改めて「あいかわプロジェクト(オンライン授業含む)」について説明します。 3年半前の2021年3月に神奈川県教育委員会とJICA横浜が 「外国に繋がりのある子ども達を中心にインクルーシブ教育を推進していく」 という趣旨となる連携の覚書を交わしました。 そこで、JICA横浜が、その考え方を具体的に推進していく市町村や県内3500校を超える小・中学校から開発校を探していました。 2021年9月から、当時私が中津小校長の時にJICA横浜の先生の話を聞き、その先生の考え方に共感し、JICA横浜や県教育委員会の方針に協力しました。 私や教頭がJICA横浜主催のオンラインミーティングに登壇し、学校や日本の「外国に繋がりのある子ども達や保護者」が抱える課題を率直に話しました。
2022年の1月からは、4月から始まる「あいかわプロジェクト」についての準備会をJICA横浜・県教委・町教委・学校で話し合いをしました。 2022年4月から、私は愛川東中学校に赴任してしまいましたが、本格的に中津小学校を中心に「あいかわプロジェクト」がスタートし、校内研究の中で、「インクルーシブ教育」を柱にしながら、校長を含めた全職員が個々の課題を見つけ開発に尽力していました。 2022年の10月の研究発表会を私は見にいきましたが、各先生方が自分の課題に真摯に取り組み、素晴らしい研究発表をしていました。私は、中津小学校の先生方は「さすがだなぁ」、「ありがたいなぁ」と率直に思いました。
2022年4月に私は愛川東中学校に赴任しましたが、「あいかわプロジェクト」は中津小だけのものではない、愛川町全体にかかわるものである。特に、中津小を卒業する子ども達は、東中に入学してくる。9年間、小中一貫で「インクルーシブ教育」を進めていかなければならない。しかし、校長になっていきなり「インクルーシブ教育」を進めていく、と言っても、職員が「また仕事が増えるのではないか?」「インクルーシブ教育っていったい何?」と思ってしまうのではないか。 当時の教頭先生と相談し、「インクルーシブ教育」という言葉はあえて使わず、先生方や子ども達・保護者の皆さん・地域の皆さんには、「誰一人も置き去りにしない学校」というフレーズ打ち出し、教育活動を進めてみてはどうか、言葉は違うが理念は一緒なのだから、と相談しながら、じわりじわり先生方に浸透させていました。 特に、学習室の子ども達、国際教室に通う子ども達に自信をつけさせ、通常級に入って安心して仲間と交流していけたらと思っていました。
2022年度は、本町の外国に繋がりのある子ども達の多い学校の校長や愛川高校の副校長、JICA横浜の先生たちで、2ヶ月に1回、情報交換会や次年度に具体的にできることを模索していました。
2023年1月のその会議で、「最近フィリピンから日本に来る子ども達が多い。この子達を笑顔にすることができないか?」という議論になり、JICA横浜の先生が、「すぐに大使館に確認して先生方に知らせる」という話になりました。
その後、フィリピン大使館から良い反応があり、2023年4月からは、フィリピン大使館、フィリピンの中学校、JICA横浜と本校でオンラインによる会議を定期的に開き、オンライン授業をどう進めていくかという具体的は話し合いを進めてきました。
そして今年9月にフィリピン大使館、フィリピンの学校、愛川町教育委員会、本校の連携に関する覚書に調印し、オンラインによるセレモニーを行い、正式にオンライン授業を行うことになりました。
とにかく、この事業がここまでトントン拍子に進んだのは、JICA横浜の先生の熱意、フィリピン大使館とフィリピンの学校の先生方の子どもに対する温かさに感動するばかりです。
このオンライン授業を通して、「子ども達の笑顔が見たい」、「子ども達が現地の子ども達とたくさん対話をしてほしい」、「たくさん現地の子ども達と触れ合う中で自分のアイデンティティを確かめ、これから日本で頑張って生き続けていく気持ちを作る機会の一つにしてほしい」と私は思っています。
この私の思いに本校の優秀な国際教育コーデネーターや国際担当の先生方が、時間を惜しまず一生懸命準備をしてくださいました。本当に感謝しています。
授業が終わった後に、「どうでしたか?」の質問に、「楽しかった」、「また受けてみたい!」と子ども達は笑顔で話してくれました。
2024年2月には、フィリピン大使館の領事がオンライン授業を視察されました。 同じく2月に、「国際教育コーディネーターの役割」について、中津小・本校の国際教育コーディネーターが全職員対象に研修会を行いました。 2024年10月には、ACCU(ユネスコの関係者、インド・スリランカ・カンボジア等)の皆さんが本校を視察されました。 これからの日本は、外国の方々の労働力なしには成長していきません。ですから、子ども達が大人になる前の段階である義務教育・学校教育をより充実させていかなければなりません。 そのためには、「インクルーシブ教育」が不可欠です。 昨年度振り返ってみると、「一昨年度教室に入ることを拒否していた」学習室の子ども達が4月最初の学活に、全員が通常級の学活に入れたこと、行事や授業を通して、先生方に褒められ、学習室の子ども達の自己肯定感が増し、特に3年生の笑顔がとても増えたこと、3年生の学習室9人全員が修学旅行に行けたこと、国際教室もほとんどの子が参加できたこと、班の仲間とふれあい、写真を撮り、班別自主散策に行けたこと等は、先生方の粘り強い指導のおかげであり、先生方の「誰一人おきざりにしない!」「インクルーシブ教育」を意識した取り組みをしてくれたおかげです。 現在、学校に来られない子ども達はいますが、個々にケースが違います。SCやSSWの先生方の力をお借りしながら、子ども達のエネルギーがたまった時点で、子ども達や保護者と連携を取っていきます。
本校は、「あいかわプロジェクト」を軸としたインクルーシブ教育・多文化共生教育をこれからも推進していきます。
インクルーシブな学校の開発こそが、「学力向上」、「不登校対策・居場所づくり」の喫緊の課題を解決していくカギになると私は思っています。 2024年8月のインクルーシブな学校の開発の研修会を校長がファシリテーターとして行いましたが、先生方のキーワードとして「みんなが選択できる」「こだわらない指導・こだわらない環境づくり」「雰囲気づくり」「適切な声掛け」「自分も仲間も認め合えるきっかけを見逃さない」「見極め」「意識」「環境づくり」「まずは、教員が魅力ある人間になる!」があげられました。 インクルーシブな学校の開発には、保護者の皆さん・先生方のご理解とご協力が必要です。
また地域の皆さんとこの理念を共有しながら、本校の教育活動を進めていきたいと思います。
本校は地域とともにある学校です。 |