2020年11月4日水曜日

場(ば)

 先日、人気グループがパーソナリティーを行う「愛なんだ2020」という番組がありました。普段あまりテレビを見ないのですが、たまたまスイッチを入れたときに見覚えのある校舎が映ったので、もしやと見続けたら、神奈川県内の中学校や高等学校が各コーナーに計5校、次から次へと登場してきて、ついつい最後まで見てしまいました。

 いつも情熱を持って生徒に接するある中学校の3学年主任の先生に、学年の生徒全員で感謝の気持ちを伝えるしかけをしたり、NHKのピタゴラスイッチにでてくるような装置を工業高校の生徒が4つある科をまたいでそれぞれの科の個性を生かして製作したり、また6つの高校(うち2校が神奈川。マーチングバンド部とクラシックギター部でした)の部活動をオンラインで結びつけて協力して大がかりなパフォーマンスを行ったり、そしてまた最後の大会がなくなった3年生に下級生が引退試合を設定したりと、コロナ禍で失われたたくさんの場をとりもどそうと、たくさんの工夫と、たくさんの思いを込めて取り組んでいる姿が感動的でした。そして、終わった瞬間の緊張がとけた泣き顔、やりきったスッキリとした笑顔がとても印象的でした。

 これらに取り組む前の生徒への取材では、どの生徒たちも異口同音に「発表の場がないのがつらい」「もやもやとしてしまっている」「次に進んで行く気持ちになりにくい」と言っていました。おそらくは全国全ての生徒たちがの心のどこかに同じような思いを抱えていると思います。この番組を見て、日々いろいろ努力を積み重ねている生徒たちのいろんな大切な「場」がコロナ禍によって奪われ、たくさんの我慢を全国で同じようにしていることを改めて感じました。そしてまた同時に、「節目となる場」があれば、おそらくは大人が考えるよりはるかに長足で自分たちで成長を果たしていくこと、そしてずっと心に残る大切なものを手にできるのだと言うことを改めて強く感じました。

 まさにこの番組のキャッチフレーズ「青春を止めるな!」の通り、「今いる生徒たち」のこの一期一会のこの瞬間を止めないようにできる限りのことをしていきたい、そう思います。一方、リスク管理は徹底しなければなりません。だから、みんなで知恵を絞り、出し合って、リスクを最小にする工夫を積み重ね、「場」をつくっていく、その姿勢が大切だと思います。やってはいけないのは、この状況下だからと、頭から「場」をつくることをやめてしまう、ということです。幸いにして、本校の先生も生徒たちも、様々な工夫を重ね、その状況でできる最大限の熱量で取り組んでくれています。やってみると、更なる工夫をする余地が生まれることもわかってきました。「with コロナの時代だからこそ学べることを学んでいく」そんなしたたかな、柔軟な強さを持ち続けられる学校でありたいと思います。




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